祖母の認知症 ~療養日記~

元気かな?最寄り駅に向かう階段の両端がどんぐりで埋め尽くされていたよ。

 

自宅から実家までは、電車を3回乗り換えて、健康体でテンションも通常以上であれば特急や急行を使って1時間20分くらいの距離である。梅田を経由するのが最短ルートだが、弱っている時に梅田の人込みの中を歩くのはしんどいものがある。とはいえ、リハビリにも負荷をかけていきたいので梅田経由で帰省することにした。一瞬乗り物酔いっぽくなったが、それ以外は問題なかった。あらためてわかったことといえば、階段を下りるスピードがまだまだ遅いことと、右手で鞄を持ち続けるのはちょっと困難ということ。途中休憩でミルクティを2度飲んだが、胃の方も2杯分程度のミルクティは十分に受け入れが可能であること。ゆっくり歩く人の姿がしっかりと視界に入るようになっていたこと。いろいろ収穫が多かった。

 

祖母はどう考えても認知症の症状である。極度の状態ではないが、新しいことは理解が困難だし覚えることも難しいようだ。また耳がかなり遠くてコミュニケーションが成り立たない。僕の手術と入院のことは母から祖母に伝えたということは母から聞いていた。

そんな祖母だが、僕の顔を見るやいなや、「かわいそうに。腕は動くのか」と言ってきた。「かわいそうに」と何度も言ってきた。「長い間入院していたからしょんぼりしているかと思っていたけど、元気そうでよかった」とも言っていた。最新情報をきちんと理解して更新できていたことに僕は驚いた。

初孫が2歳の時に命にかかわるような怪我を負ったことは祖母にとっても強烈な記憶として残っていたのだろう。その時の怪我がきっかけで今回2度の手術と入院をしたということは、その強烈な記憶と相まって祖母には認知症を超えるような強烈な情報となったのだろう。隙あらば僕の体をさすろうとする祖母の存在がなんともありがたかった。