手術痕が消えてなくてよかった ~入院日記~

元気かな?病院にいたら雨や風のことがわからないね。被害が少しでも大きくならなければいいな。

 

もともと広い範囲の傷痕のうち、放っておくとよくないところを切り取ったり、機能を改善したりするための手術だったから、背中や腕が普通のお肌になるわけではないことはわかっていた。ただ背中の右部分は右大腿部の皮膚を張り付けたから、足のような皮膚になってるんだろうな、足みたいにここだけ毛が生えたら間抜けだな、脱毛しようかな、なんて考えていた。

 

鏡越しに背中を見たら想像とは違っていた。もちろん手術前とは違うし、手術後の恐ろしさやグロテスクさとも違う。落ち着いた手術痕の上から透明の膜が張り付いたようになっている。おっきな傷だねということがわかる。僕はほっとした。

 

お医者さんも看護師さんたちも、背中を見るたびに、すごくきれいになったと言ってくれる。僕は幸せな気持ちになる。これから皮膚をくっつけたところがもっと再生していくんだろうか。足みたいな皮膚になっていくんだろうか。でも僕にとっては見た目はもうどうでもいい。むしろこのままであってほしい。手術痕がなくならないでほしい。

 

この痕を見るたびにこの40日間で感じたこと、考えたことを思い出すことができる。この痕さえも僕には宝物になった。