1日でも長く

僕は一つの会社しか知らない。だから、今の会社のすぐれているところは客観的にははっきりはわからない。ただ僕自身が今の会社に属してよかったと思っている事柄ははっきりしている。

「もっと役に立ちたい」「もっと喜ばれたい」「みんなでよくなりたい」「そのために自分を高め続けたい」という人たちに出会ったこと。利他の心に満ちている人たち。人のために率先して動くことのできる人たち。口先だけではないそんな人たちが実際に存在するということを肌で感じることができたこと。これは僕の人生の宝物だと思っている。そのせいで自分自身の小ささとか心の濁りを感じて情けなくなることも多かったけれども、自分を知るきっかけをもらったこと、どんな人間になりたいのか考えるきっかけをもらえたことは、僕のラッキーところであり、幸せなところだとも思っている。

僕が今の仕事をここまで続けているのは、一つだけの理由ではないけれども、「そんな人たちがもっとやりがいを持てるように何かを提供したい、こんなことが自然な状態になるような会社にしたい」というのも明確な理由の一つ。人生とまでは言い過ぎだけど、少なくともそんな人たちが仕事人生を終える時には「よかった」と迷いなく言ってもらえるように、直接的であれ間接的であれ何らかのことはしたいと思い続けてきた。これは僕が自分で勝手に思い込んでいるミッションであり、同時に恩返しの形でもある。今の僕があるのは間違いなくそんな人たちのおかげ。僕はそんな人たちには感謝の念しかない。ありがとうと何度言っても足りない。

僕の元気な姿や発することばを楽しみにしてくれている人の一人に闘病生活を送っていた人がいた。この人は僕に心というものを教えてくれた。今日の話はもっと早くにするべきだった。そうすればきっと喜んでくれただろうし、ほんの少しでも体にエネルギーが湧いたかもしれない。でも間に合わなかった。とってもキラキラした人だった。キラキラした生き方をしていた人だった。感謝のことばも伝えていないし、お別れの挨拶もしていないのに急に天国に旅立った。

生き続ける人はいない。それぞれに寿命というものもあるだろう。そんなことはわかっているけど、それでもあなたには1日でも長く生きてほしいと思っているよ。