何を大事にするか②
元気かな?まだホテル暮らし。さっき美容院に行ってきたよ。
単身赴任で家族が離れて暮らすということを真っ先にお嫁さまに電話で伝えた。いつも僕を気遣ってくれて、自分の気持ちを後回しにする彼女だけど、電話越しでもショックを受けていることがわかった。晩ご飯を食べる時に息子に告げた。静かな食事になった。いつの間にか息子がいなくなったと思ったら、布団に顔をつけてものすごく泣いていた。
父母や祖母にはこれまで1ヶ月から2ヶ月くらいのペースで顔を見せるようにしていたけれども、そういうことがもう困難になるので、挨拶をしにいった。父はやたらと僕の体を心配した。母はやたらと僕を励ました。祖母は僕の顔をみるなり泣き始めた。号泣だった。最後まで泣いていた。
関東にいくだけでもう会えないわけではない。そんなことはわかっている。
いずれみんな新しい状況に慣れる。そんなこともわかっている。
息子にはいい経験になる。そんなこともわかっている。
家族が離れて暮らすということは、世の中にいくらでもあることで、たいしたことではない。そんなこともわかっている。
でもね。僕ははじめてこのことを思いっきり考えた。「家族と離れてまで、泣かれてまで、しないといけない仕事なのか?」「何が後悔しない生き方なのか?」。
僕はへんに責任感が強い。だから関東での仕事にも出会う人にも手を抜かずに心を尽くすに違いない。すぐに投げ出すこともありえない。でも僕の心はもう決まっている。
僕は何を大事にしたいのか、何を大事にしなければいけないのか。ほんの数日間だったけどようやく整理ができた気がする。このために今回の転勤は必要だったんだなって感謝しているよ。
もしもあなたの大切な人が身近にいるならば、その人のことを思いっきり大事にしてあげてね。