切符

元気かな?

息子のスイミングのお迎えに行った。一駅離れただけの距離なので歩くことも多いんだけど、僕の荷物が多かったので電車に乗ることにした。降りる間際に息子が「切符がない。ホームで落とした。」と言い始めた。降りてからあらゆるポケットを探させたが見つからなかった。事情を駅員さんに話せばそのまま改札を通らせてくれるかもしれないし、でなくても100円弱の追加料金を払うだけのことだったけれども、僕は乗った駅に戻させることを決めていた。いい勉強だなと思ったから。「駅の人に言うの?探しに戻るの?」と尋ねたら「戻る」と答えたのでそのまま付き合った。

その駅に到着すると息子はすぐに向かいホームに切符を探しに行こうとした。「ひょっとしたら誰かが駅員さんに届けてくれているかもしれないでしょ。だから、まずするのは、駅員さんに切符が届いていないかどうか聞くこと。届いてなければ探せばいい」と伝えて、駅員さんのもとに向かわせた。運よく切符が届けられていて息子が興奮して僕のところに走ってきたので、駅員さんにお礼を言うように突き返した。

息子は落とした切符が見つかったことを喜んでいたが、僕は別のことがうれしかった。

「世の中には親切な人がいる」ということ。このことを息子がリアルに実感できたこと。

「拾って届けてくれた人にお礼を言うこともできないし、お返しをすることもできない。あなたがすることは、あなたが落とし物を見つけた時には同じように届けてあげること。親切にしてもらったら今度はあなたが別の人に親切にすること。今日はいい勉強をしたね。」

と僕は息子に伝えた。親切な人のおかげですばらしい時間になった。僕自身も負けないように人に親切にできる人間でありたいと思ったよ。