富士山① ~勇敢と無謀と~

元気かな?
19歳の夏、3週間だけアメリカにいった。サンディエゴで東京のS君と知り合った。どういう流れか忘れたけど、22歳の夏に富士山に登ることになった。S君が急に誘ってくれたことは覚えている。S君も僕も富士山どころか、山登りの超素人。新幹線の三島から富士山がよく見えるからとりあえず三島に集合!っていうようなゆるゆるの計画をした。リュックサックとレインコートと財布を持っていくことも共有した。

夕方にバスで5号目に到着したら、周りは冬のような格好をしていた。「真夏に真冬みたいな格好をして、ちょっとおかしいんちゃう」って2人で笑っていた。でも本当におかしかったのはTシャツ姿の僕たちだった。夜から登り始めた僕たち。寒くてたまらなかった。高山だから空気の薄さが辛いんだろうという認識しかなかった。でもこの時の僕たちにとっては空気の薄さよりも寒さがこたえた。寒さがこんなに辛いとはね。身の危険も感じたよ。後からわかったんだけど、頂上付近は氷点下0℃くらいだったんだ。無事に頂上にたどり着いたけど、完全に結果オーライだったなって思った。

当時は、調べもせず計画もせず準備もせずにたいして考えもせずに行動することは、勇敢なことで行動力に満ちていることだと思い込んでいた。男らしくてカッコいいくらいに思っていた。でもおかげで、勇敢と無謀の違いがよくわかったし、行動力とあんぽんたんの違いも実感できた。こういうことも引っくるめてすごくいい経験になったし、何やかんやいって楽しかった。誘ってくれたS君には感謝してるよ。