幸せを運んだぎょう虫検査

元気かな?
座高測定とぎょう虫検査が来年度いっぱいで学校からなくなるって話だね。
小学校4年生の時だったと思うけど、僕よりも10㎝以上背が高くて、クラスで一番背の高い女の子だったK美さんと座高の高さが小数点以下まで見事に一致した。ちょうどこの頃、ゼンジー北京が日本人だったと知ってすこぶるショックを受けたけど、それに匹敵するほどショックだったね。だから座高測定は別になくなっても、どうぞご勝手にっていう感じ。
だけど、ぎょう虫検査は勝手にやめないで欲しい。

僕はぎょう虫検査が大好きだった。ぎょう虫という得体の知れないものの存在、怪しい検査シート、人様に見せられない検査方法。すべてがミステリアス。宇宙の神秘に匹敵するよね。

息子に座高測定とぎょう虫検査廃止の旨を、事実のみ淡々と告知した。すると座高測定には何も触れることなく、ぎょう虫検査には食いついた。すごくショックだと言う。なんで?って聞いたら、「楽しいから」だって。
僕は息子とぎょう虫検査についてこれまでに一度も共有したことがない。当然、息子は僕がぎょう虫検査好きなこと、検査廃止に心をひどく痛めていることを知らない。なのに僕と息子はぎょう虫検査について同じ価値観を持っていた。
親子の絆を感じた瞬間だったよ。思わず息子を抱きしめたよ。