録画の半沢直樹②

元気かな?

息子が怒ったシーンがもう一つある。一番最後のシーン。頭取から出向を命じられるところ。息子に状況を説明すると、「(頭取は)自分が助けてもらったのに、こんなことをするなんておかしい!」とやはり憤っていた。

僕は大和田の処分については納得はいかなかったが、半沢の処遇に関してはそりゃそうだろうなと変に納得できた。恨みや正義感がどれほど強かったとしても、公の場・公の時間を使って私的なことを出し過ぎだし、やり方も褒められたものではないなと感じたから。これは1度目に観たときと同じ感想だった。

今回2度目の最後のシーンを観て新たに一つの疑問が湧き起こってきた。そもそも半沢は組織内の不正を暴いたことでさらに評価されるとでも思っていたんだろうか?ということ。もしそうなら大きな勘違いだよねって僕は思う。

僕自身はより大きなものに闘いを挑むというスタンスも好きだし、そのようなスタンスを取ることのできる人間もとても好き。でも、目下のものが組織のトップ級の人物に楯突くことを特に役職上位者は気分よく思わないだろうし、組織の既存の秩序を混乱させかねないような社員は目障りだと思う割合は、役職上位者ほど高くなるのではないかと感じる。たとえそれが組織のためであったとしてもね。組織は今も昔も人間の集合体だし、正義だけで成り立たないよね。だからそれでも正義を貫こうとするのならそれに見合うリスクは当然覚悟しておくべきなんじゃないかなと僕は入社以来おぼろげに思ってきた。告発などは、評価されるどころか評価が下がることを承知で実行しないといけないと今でも思っている。僕が組織を心底信頼していないことの表れかもしれないね。

勧善懲悪調のこのドラマ。同じ勧善懲悪でも、水戸黄門では後味すっきりだったのに、このドラマでは僕自身はすっきり感を味わえなかった。それは終わりのシーンが原因ではない。何のための勧善懲悪かについて、水戸黄門は世のため人のためという方向性を感じさせてくれたのに対して、この主人公からは感じられなかったからかもしれない。いいとか悪いとかではなくて、極めて人間っぽいドラマだなと思った。