絶世の七三分け

元気かな?

仕事帰りに美容院に行ってきたよ。職場からも家からもちょっと遠いんだけど気に入って通っている。手際よく上手にカットしてくれるし、セットもナイスにしてくれるし、ファッションもおしゃれだし、美容師の人たちってすごいなっていつも尊敬するよ。

僕が美容院に行き始めたのは30代になってからで、それまではその時々に住んでいたところの近所にある、くるくる回る看板の散髪屋さんのお世話になっていた。僕にとっては家から近いっていうのが当時の一番大事な条件だったんだ。

いくつか通った中で、新入社員時代に通っていたところがとても思い出深い。大阪から出てきて一人暮らしをしているっていうだけでもとても気にかけてくれて、会社員1年生ってことでさらに毎回気合いを入れて散髪をしてくれた。おじさんの中では、「会社員=七三分け」だったんだね。仕上げのセットは必ず完璧なまでの七三分けで頭をかためてくれて、いつも元気よく送り出してくれた。おじさんの気持ちは十分に伝わっていたしありがたかったんだけど、サラリーマンコントじゃあるまいし、美し過ぎる七三分けっていうのはかなり恥ずかしい。だから、毎回、お店を出るやいなや髪をくしゃくしゃにして、七三分けの痕跡を消し去って急いで家に帰ったよ。

感嘆させるほどの七三分けは泣くほど嫌だったんだけど、それでもそのおじさんのところに通い続けたっていうのは、決して近所だからっていうだけではなくて、きっと僕にとってはそのおじさんの気持ちが心地よかったんだろうね。年齢的にもう引退しているだろうけど、元気に過ごしてくれていたらいいななんて思うよ。

 

今日もいい日だったよ。あなたにとっても幸せを感じられる1日であったなら、とてもうれしいな。