祖母と店屋物

元気かな?

小さい頃から祖母の家でご飯を食べることが多かったが、祖母も仕事をしていたので店屋物が多かった。食べ終わると祖母は皿や器を洗い、乾かし、埃が入らないようにして、お店の人が取りにくるのを待っていた。お店まで持っていってあげることもあった。僕はその光景をずっと見てきたので、そういうものだと特に違和感ももたなかった。今となっては僕が当たり前のように見てきたことが実は珍しいことなんだとわかる。

祖母は義務感からそうしていた風でもないし、ごくごく自然にそうしていた。なぜかなと考えてみて、おそらくこうじゃないかという答えが3つ見つかった。

1つ目。祖母にはそもそも「自分はお客様だぞ」という意識がなかった。お金は払うけれども、ご飯を作ってもらって運んできてもらう。対等どころか、自分ができないことをしてもらうことを感謝さえしていたように思う。

2つ目。誰のものであろうとお皿が汚いままだとお皿自身がかわいそうという感覚を持っていた。

3つ目。すぐに使える状態にしておいてあげたら、お店の人も助かるだろうと思っていた。

 

祖母のすごいところは、こういうことを何の見返りも求めずにささっと行ってしまうことだった。僕は祖母の真似はできないし、祖母のような姿勢で生きていきたいと思っているのかもよくわかっていない。でも今の僕がはっきり言えることがある。それは、世の中には祖母のような人間が確実に存在するということ、そんな人が神様からご褒美をもらえるような世の中だったら素敵だなって思っているということ。

ドーナツを食べてたら突然祖母のことを思い出した。不思議だね。