1年前

元気かな?

ちょうど1年前にある職場を去った。異動したわけではなく、兼務で期間限定で預かっていた職場の約束の期限がちょうど1年前だったということ。

 

その職場は、僕の誠実さや正義感や倫理観や精神力や能力、これまでにやってきたことがどんだけのものかが試されるような状況だった。おまけにその職場に割くことのできる時間は平均的に必要とされる時間の半分以下という条件付きだった。

 

僕にとって唯一の救いだったのは、良識があり、責任感が強く、行動力があり、何よりも温かい心を持ったチームメンバーに恵まれたことだった。初日に心に決めたことは「僕なりの形でメンバーを幸せにしよう」ということだった。このメンバーを幸せにできなければ、僕は男として駄目だろうと思った。僕の勝手な定義だけれども、メンバーの幸せとは、「仕事にやりがいを持てる・仕事が楽しいと感じる・自分が成長していることを感じられる・もっと成長したいと願うことができる・確固たる判断軸を持つ」という状態。限られた時間だけれどもこれらだけは何としてもやり遂げなければならないと思った。また、これらが僕がメンバーに遺すことのできる精一杯のことだとも思った。僕が勝手に自分の心に決めたために、僕がチームメンバーをどれだけ愛することができるかということも試されることになった。とても根深い課題がひしめく状況だったので、本質的ではない部分では、目をつぶった部分、捨てた部分も多かったけど、メンバーに対してのエネルギーだけは決して手を抜かなかったつもりでいる。

 

実際にメンバーに何を遺せたかはわからないし、メンバーに想いがどこまで届いているかもわからないから、結局は独りよがりだし、自己満足の域を脱することはできないけれども、当初心に決めたことだけは当時の僕の器なりにすべてやり切れたのではないかと思っている。メンバーに会えなくなったのは寂しいけれども、悔いは残っていない。

 

1年前に「このメンバーと一緒に仕事ができたことを誇りに思うし、誇りに思えるような人に出会えた自分はとても幸せ者だ」って思った。今日、それから1年経ったけれど、やはり同じように、メンバーもメンバーと過ごした時間も誇りに思うし、やはり同じように、自分は幸せ者だと思う。今となっては感謝の気持ちを何かで返すこともできないけれども、せめてメンバーに恥じないような仕事人でありたいと思っているよ。